離婚問題相談室
法定離婚事由
離婚訴訟を起こす場合、民法で定められている法定離婚事由がなければいけません。
また、相手が離婚を拒否してきた場合にも、法定離婚事由を根拠として離婚を突きつける事になりますので、基本的にこれらを満たしているかどうかが重要となります。
もちろん、当事者が合意すれば法定離婚事由は必要としません。
法定離婚事由は次のものがあります。
配偶者の不貞行為
夫婦は貞操義務を負っています。
この義務違反、つまり配偶者以外と性的関係をもった事を理由として、離婚の請求をすることができます。
ただ、その行為によって婚姻関係を破綻させるに至ったかどうかが重要であり、1回限りの浮気を取り上げて離婚を請求できるかどうかは状況に応じて判断が異なります。
不貞とは、ある程度継続的である場合をさすと言えるでしょう。
ただ、配偶者の1度きりの浮気が原因で夫婦仲が不調になり、離婚を考えるに至った場合などは、『5 その他の婚姻を継 続しがたい重大な事由』に該当するかどうかが問題となってきます。
また、実質的に夫婦関係が破綻してしまっている状況で、配偶者の一方が第三者と性的関係に及んだとしても、それは不貞行為とはみなされません。
配偶者の悪意の遺棄
民法では夫婦に対し、同居義務・協力義務・扶養義務を規定しています。
これらに反した行為は悪意の遺棄として法定離婚事由に該当します。
具体的には、次のような場合に悪意の遺棄に該当するようです。
・特に理由もなく、ほとんど家に帰らない
・就職可能な状態の夫が、まったく職に就こうとしない
・同居はしているが、まったく生活費を入れてくれない
しかし、いくら同居義務があるからといっても、「愛人を作った配偶者に嫌気がさし、家を出た」「夫の暴力から逃れる為に家を出た」というような場合は悪意の遺棄には該当しません。
配偶者の3年以上の生死不明
配偶者が家を出たまま生死もわからず音信不通となってしまい、その状態が3年以上継続した場合がこれにあたります。
尚、この場合、生死不明になった者の責任の有無は問われませんので、その事実のみをもって離婚事由となります。
単なる行方不明など、どこに住んでいるのかは分からないが、時々電話や手紙が来る状態では3年以上の生死不明には該当しません。しかし、この場合には悪意の遺棄や、その他の婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性があります。
配偶者の回復の見込みがない強度の精神病
精神病かどうか、また回復の見込みがないかどうかは医師の診断によるものとなります。
しかし、これに該当するという診断結果が出たとしても、精神病にかかった配偶者の今後の生活のメドがある程度確立していなければ、離婚認められるのは難しいでしょう。
また、精神病にかかってから今までの看護の経過等を総合的に判断して離婚の適否が判断されますので、配偶者が精神病で入院したからといって、すぐさま離婚請求をしたとしても、認められることはまずないと思われます。
離婚原因として該当するものに下記のようなものがあります。
・そううつ病
・早期性痴呆
・麻痺性痴呆
・初老期精神病
・偏執病
また、反対に下記のようなものは離婚原因となる精神病には該当しません。
・重度身体障害
・植物状態
・アルコール・薬物中毒
・アルツハイマー病
・ノイローゼ
ただ、回復の見込みがない強度の精神病に該当しなくても、それを原因として婚姻を継続しがたい重大な事由に該当すれば、それを理由として離婚が認められる余地があります。
その他の離婚を継続しがたい重大な事由
この定義は幅が広く、特に限定されている訳ではありませんが、およそこれに該当する可能性のある事例を挙げます。
【性格の不一致】
単に性格が合わない、というだけでは認められず、それを原因として夫婦関係が破綻し、修復が不可能であると判断される場合に認められる場合があります。
【性の不一致】
体調不良などの正当な理由により性交渉を拒否された、等の場合は該当はしません。
しかし、特に理由もなく長期にわたる性交渉の拒否や、配偶者が同性愛者である、性的嗜好が異常、異常に強い性欲、性に嫌悪感を抱いている潔癖症等の理由により離婚を認められる場合があります。
【重い病気や障害】
献身的な看病をしてきたが、それ以上の負担、犠牲を強いることが適当でないと判断される場合に認められる場合があり、重い病気にかかったからといって即離婚が認められる訳ではありません。
【配偶者に対する暴力や虐待】
一過性の暴力・虐待に関しては認められる可能性は低いと思われますが、暴行を受けた場合は、きちんと医師の診断を受け、診断書をとっておくようにしましょう。
それが常習的なものであるようなら、離婚が認められると思われます。
【親族間の不和】
夫の親族と妻の間で激しい対立が起こり、それがもとで夫婦関係に亀裂が生じ、その関係が修復不可能であるなど、夫婦関係が破綻してしまっている場合などがこれにあたります。
しかし、程度の問題によりその訴えが退けられる場合もあります。
【浪費・借金癖・ギャンブル依存】
配偶者の生活能力が著しく低く、怠惰な生活を原因として夫婦間の信頼関係が崩壊し、婚姻関係が破綻してしまっていると認められる場合は、その程度に応じて離婚が認められます。
【常軌を逸した宗教活動】
宗教活動を行うこと自体は憲法で認められた正当な権利ですので、特定の宗教を信仰している等の理由をもって、すぐさま離婚が認められることはありません。
しかし、その宗教活動がエスカレートし、日常の生活に影響を及ぼし、家庭の安息が失われるなど夫婦関係に破綻をきたす場合に離婚が認められます。

